栽培に関する取り決め
◎ 農薬散布について
まず、化学合成農薬をできるだけ使わない栽培努力を前提とします。その上で、生産者が各々の園の状態を見ながら必要な防除を行います。
化学合成農薬散布に関するきばるの自主基準は、以下の通りです。
●散布期間:収穫後から8月31日までの間
●散布回数:5回(二つの農薬成分を混合した場合は2回と数える)を上限とする
●散布可能な農薬の種類:下表の通り
農薬名 | 用途 |
---|---|
ハーベストオイル | 越冬害虫・ハダニ・カイガラムシの防除 |
ICボルドー、コサイドボルドー | カイヨウ病の防除 |
キノンドー80、ストロビードライフロアブル | 黒点病の防除 |
イオウフロアブル、ファインセーブフロアブル | サビダニの防除 |
●化学合成農薬に代わるものとして(広義の農薬という概念には当てはまりますが)木酢、玄米酢、液体せっけん、にがり、えひめAI、JADAMオイルの使用については、その期間・回数に制限を設けていません。
●除草剤・防腐剤・ヘタ落ち防止剤は用いません。またワックスによる磨きをかけていません。
●生産者には毎年、防除履歴を提出してもらい、事務局で管理します。万が一基準から外れる栽培を行っていた場合、残念ながらその生産者のみかんはその年、出荷停止となります。
※生産者別の化学合成農薬散布履歴は、毎年公開しています。以下よりご覧ください。
◎ 施肥について
会の指定する、有機物100%配合の肥料を施肥します。また生産者が各々園の状況を見ながら堆肥等を撒き、作物の土台となる土づくりに努めています。
出荷に関する取り決め
きばるで生産する甘夏やしらぬいは、特に外観(果皮の状態)が一般市場のものより悪くなります。農薬散布を減らしているから、というのは言い訳になりません。しかし見た目がいいか悪いかということと、それが美味しく食べられるかどうかは別の問題であると、私たちは考えます。
私たちきばるは、独自の出荷基準を設けて販売に臨んでいます。この基準は、生産者が一堂に会して毎年行う「目合わせ会」で喧々諤々やった後に決定するものです。その内容を自分たちの口から説明し、納得してもらった上で皆様に食べてもらう。消費者と生産者が二人三脚で日本の農業を支えていくというのは、一つにはそういうことを指すのだろうと私たちは思っていますし、事実、その営みによってきばるは長い間甘夏を作り続けることができました。
ちょっと長くて申し訳ありませんが、ご購入の前にご一読くだされば幸いです。
◎ 外観の基準について
甘夏、しらぬいともに、「中身が美味しく食べられる」「腐敗に影響がない」、まずはこの二点を重視して規格の間口を広げています。その上で甘夏については、「マーマレード用の皮に使えるかどうか」を一つの目安にします。外観を損なう原因はいくつかありますが、大きくは以下の通りです。見本写真も掲載していますが、これらの被害に遭った実でも加工時のひと手間で問題解消できることがあるため、程度がひどくなければ規格内としています。
●黒点病:枯れ枝に住み着いている菌が、雨で流れ果皮に付着すると起こる被害です。黒点病は全体的にゴマ粒様に広がる被害と、局所的に濃いシミを残す被害(流れ黒点と呼んでいます)に大別されます。皮をむけば中身に影響はないものがほとんどで、局所的な濃いシミの部分を除けば皮もマーマレードなどにお使いいただけます。したがって、写真程度のものまでは規格内としています。



●カイヨウ病:果皮の気孔や傷の入っている部分から細菌が入り込んで起こる被害です。中身に問題のあるものはあまりないのですが、コルク状の斑点が生じるため、果皮の食味はあまりよくありません。加工の際に斑点部分をくり抜いてお使いいただくことを想定して、以下のようなものまで規格内としています。


●スス病:カイガラムシなどの排せつ物にカビが付着して起こる被害です。拭き取ってしまえば問題ないので、収穫してから拭き取ります。拭って大半が落ちないようであれば、規格外です。お届けした箱に入っていたら、タワシなどでこすって落としてください。
●サビダニ:ダニが果皮を食い荒らす、食害です。細かい傷が付き、黒いシミのような跡になります。親指の大きさくらいなら許容範囲ですが、被害がひどい場合は中身に影響することがあるため、規格から外します。
●カサズレ:ガサクレとも呼びますが、風で枝などに当たってできる擦り傷です。深すぎると腐敗につながりますが、そこまでひどいものは滅多にありません。多少の傷はご容赦ください。
◎ 大きさの基準について
甘夏は直径(横幅)9cm以上、しらぬいは7.5cm以上。基準はこれだけです。形の極端に悪いもの、極端に大きいものを除き、大小混合で箱詰めをしています。大小含め、それぞれの個性を味わっていただければ生産者冥利に尽きます。
ちなみに大きいものは酸抜けがよくさっぱりとした味わい、小さいものは酸味が強く濃厚でジューシーという、若干の傾向があるようです。


◎ 生産者自身による箱詰め
これらの取り決めを守りながら、生産者が自分の園で収穫したものを、責任持って箱詰めしています。箱の中には、生産者の名前が押印されたチラシが入ります。各生産者の写真とともに保存方法なども掲載していますので、お役立てください。