みかん山から-2019/11/26

みかん山から

日本全国、どこに暮らしていても災害とは切り離せない時代になりました。この度の台風および豪雨災害により、被害に遭われました皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

一晩で状況を変え、命をも奪う自然の猛威に、どのように共にあることができるのか。

九州は毎年台風の通り道になるので「慣れているから」と油断していた私にとって、背筋を正される思いです。収穫直前で出荷できなくなってしまった農家さんの言葉を聞くたびに、園をみるたびに、胸にこみ上げるものがあります。
でも、これもまた自然のちから。
つねに恩恵を授かっている身としては、一方的に自然を搾取してきた結果として地球環境が破壊され、予想を上回る自然災害が発生していることを、考えなければならないと思っています。

明日は我が身です。

 

さて、11月末のみかん園は仕上げ摘果を終え、収穫を待つのみです。草刈りの音は影をひそめ、一年で一番静かな時期とも言えるでしょう。

みかん山から

少しずつ色づきが始まり、緑と淡い黄色の混じった、なんとも言えない綺麗なグラデーションがあたり一面を埋め尽くします。これから一日一日と、気温が下がるごとに黄色が深まっていきます。

今年は「裏年だ」と、生産者は春先からすでに言っていました。昨年が表だったというのが主な理由ですが、それでも花のつき具合はそれほど悪くなく、6月頃まではそれほど収量は減らないだろうと思っていました。
しかしながら、実が大きくなればなるほど被害果が目立ち始めました。「カサズレ」と呼ばれる、枝で引っかいたような傷がよく見られます。

みかん山から
写真中央のような傷のほか、横に一直線に伸びたような傷、全体に細かく入る傷など、色んなものがあります。

考えられる原因は、春先の強い風。
まだ赤ちゃんの柔らかい実に、風が吹き付けると枝がしなって傷がつきます。そのまま成長していくにつれ傷は癒されるのですが、かさぶたとなり、引っかき傷のような跡が残る。大きくなればなるほど、目立ちます。何度も園をまわって落としたはずなのに、未だに見つけたりすると「何を見ていたんだろう?」と自分でも自分にびっくり(笑)
出荷には十分の大きな実も、泣く泣く切り落とします。

みかん山から
摘果した甘夏の実。この時期は大きな実が園にゴロゴロ転がります。

また、今年は雨の降り方が、例年とは異なりました。
梅雨らしい梅雨にはならず、梅雨が明けてようやく雨が降り出す。夏に雨が多かったので、なんとか玉は伸びたのですが、今度は秋にピタリと雨がやんでしまいました。秋晴れの、とても気持ちの良い日が続きましたが、玉伸びもそこでストップ。
というわけで、予想よりも小玉傾向です。

10月を過ぎてからも気温が下がらず、カメムシも大量発生しました。ここ数年、秋の気温が下がらない傾向が続いているので、カメムシ対策が必要なのですが、きばるとしては未だ「9月1日以降は化学合成農薬を使わない」という基準を変えるところには至っていません。悩むところです。
気候の変動にともなって、「これまでと同じように作ることが難しくなっているのだから、変えるべきだ」という意見も、「この基準で続けてきた矜持がある」という意見も、どちらもわかります。落とし所を探りたいです。

あまり良い報告ができない状況ではありますが、いい時があれば悪い時もあるのが自然です。
生産者も、誰もがそうであるように、元気な人もいれば病気がちな人もいます。「また来年もきばってみよかい」と思えるような生産量が見込めるよう、そして、生産者が健康で作り続けられるよう、事務局としては祈るような気持ちで毎年の経過を見守っています。

個人的には、見守るばかりではなく、状況に合わせた対応ができるよう知識や技術を増やしていかねばと思っています。
これまでのように地道に、細々とでも生業が続きますように。

収穫の冬はもうすぐそこです。