みかん山から-2017/12/4

みかん山から2017年12月4日

日ごとに山が黄色く染まっていきます。甘夏みかんが色づく季節がやってきました。今年は全体的に色づきが早いため、熟すのも早いかもしれないと生産者同士で話をしています。早く熟すことは良い反面、出荷の後半に入って腐れやすくなるのではないか、という懸念もあります。

みかん山から2017年12月4日

園を観察していると、不思議なことに、同じような気温等の条件下でも園地によって色づきのペースが違うということに気づきます。特に高橋さんの無農薬栽培の園と、慣行栽培の園を見比べると、明らに高橋さんの園の方が色づきが遅いです。
ものの本によれば、柑橘の色づきは気温の変化に比例するそうです。つまり温度が下がれば下がるほど、表皮の緑色が透明になっていき、下に隠れていた黄色が顔を出す。であれば、気温の条件が同じような園地で差が出るのは、なぜなのか。

高橋さんに尋ねると「収穫時期が違うから、樹がそれに合わせて自分で熟度を調整しているのではないか」とおっしゃいました。慣行栽培のものは1月中には全て収穫して、冷蔵保存で7月頃まで出荷管理をします。きばるでは収穫後、常温で1ヶ月ほど予措したものを4月までに順次出荷している関係から、特に高橋さんは3月頃まで収穫を引っ張ります。ですから、樹も急いで熟さないような身体になっているのではないか、という推論です。
これは非常に興味深い考えだと思いました。樹は気温の変化以外にも、情報を受け取っている。みかんの樹の奥深さを感じます。

さて、気になる病害虫被害ですが、甘夏に関しては例年カイヨウの発生が多い高橋さんの園をのぞき、他の会員の園では目立った被害の報告はありません。しかしながら、しらぬいはやはりカメムシの被害を受けて、予想収量が下方修正されています。特に茂道地区は被害が大きく、来年以降どのように対策を立てていくのか、事務局と生産者とで積極的な対策を話し合わなければなりません。

みかん山から2017年12月4日
左側にある灰色の実が、カメムシ被害により樹上で腐ってしまったしらぬい。

上の写真を見てもわかるように、カメムシにやられた被害果は樹上で腐っていきます。外から見て腐れていないなと思っても、収穫時に手を触れると指が「ズボッ」と入るくらいに柔らかくなっていたり……パッと見ただけではわかりづらいものもあって、やっかいなカメムシの被害には頭を悩ませています。
ようやくカメムシがいなくなったと思うと、次はすでに飛来しはじめているヒヨドリなどの鳥獣被害とのたたかいです。特にしらぬいのように甘みの強い柑橘は、正直言って、収穫直前まで悩みがつきません。

無農薬無肥料で試している実験園は、驚くほどに順調です。玉伸びもよく、病気もほとんど見られません。色づきもほどよく、ゆっくり色づいている印象です。甘夏だけならば、そもそもが病害虫に強い品種なので納得がいくのですが、しらぬいもまた同じく順調に成育しているので、不思議で仕方ありません。
しかしそこで、誰かに言われた「農薬や肥料をやめたあと3年くらいは、上手にできる。でも、それからが問題。肥料や農薬の効き目が切れたらガクッと樹が弱るよ」という言葉を思い出します。今はまだ、これまでの貯蓄で樹が生きているのでしょう。これからどうなっていくか、どれだけ安定させることができるのかが、私の課題であると思っています。

それより何より心配なのは、味。
無農薬無肥料でも美味しくなくては、誰も食べてくれない。どんな味に仕上がるのでしょうか。あと2ヶ月ほど待てばわかりますが、その結果が怖くもあり、またとても楽しみでもあります。

みかん山から2017年12月4日

上の写真は、古いしらぬいの樹を切るときに見つけたスズメバチの巣です。12月に入ってようやく巣が空っぽになったように見えたので、樹を切り倒すのと同時に撤去しようとしたら、入り口から一匹のスズメバチが顔を出しました。冷や汗とともに、その場をダッシュで立ち去りました(笑)。

まだ、いるんですね……皆さんもお気をつけください。