みかん山から―2017/4/10

みかん山から20170410

収穫もすっかり終わり、みかん山では新芽がいっせいに吹き出し始めました。それでも気温はまだ10度以下になる日も多く、水俣には珍しく、4月に入っても桜が見頃を迎えておりません。今年の春は遅いようです。

その寒さのおかげか、今年の甘夏は腐れも少なく、味が良いというお声をたくさんいただきました。「美味しい」と言っていただけることが何より嬉しいですし、この味を来年も再現したいという意欲が高まります(同時にプレッシャーも強まりますが)。この味を忘れないようにと、今年は人生で一番甘夏を食べているような気がします。(去年も言っていた気がします!毎年更新ですね!)
目指す味が定まるということはつまり、私にとって、ひとつの大きな指針が定まったことになります。そこにどうやって辿り着いたかを記録し、自分の中の経験知にする。そしてこの味を毎年安定して再現していくことができるようになったら、甘夏栽培のプロと言っていいのだと思います。あと何年かかるのかは、私次第。そして、運次第です(笑)。

きばる全体で取り組む改植事業のひとつとして、高橋さんの飛び地の園をお借りして、3月24日に甘夏の苗木を植えました。一年生の苗木を、16本。約1反部の園地ですので、かなりの疎植です。無農薬無肥料の自然栽培を実践されている、道法さんの植え方を参考にさせていただきました。実験園なので、色々試してみたいです。

みかん山から20170410

まずは、育苗段階で農薬を使うものと使わないもので、成育にどれだけ違いが出るのかを見ます。農薬散布が農家にとって多大な負担であるということが、きばるの生産者への聞き取り調査で明確になったので、成木になってからの農薬散布を減らせるような、丈夫な幼木を育てることが目標です。育苗段階での農薬使用は必須と言われているので、人間にとって散布する際に負担が少ない「粒剤」を使ってみることにしました。
アクタラ粒剤というもので、株元にほんの50gほど撒くだけで、3ヶ月間防虫と殺虫の効果が期待できるとのこと。毒性評価も低く、これは使えると思ったのですが、成分を見ると「チアメトキサム」というネオニコチノイド系の農薬であるということが判明しました。ネオニコチノイド……その名を出すだけで各方面から悲鳴が聞こえてきそうですが、効果のほどを知りたいので、使ってみようと思います。以前の私ならば「ネオニコチノイドといえば、ヨーロッパでは使用が禁止されているのに、日本では規制が緩いから使える、問題の農薬でしょ?蜂の大量死につながると言われている……こわーい!」とか言って、絶対に使わなかったと思います。けれども今は、ただ怖がるのではなく、実際のところはどうなのかきちんと使ってみてから判断したい、と考えるようになりました。『農薬の環境科学』という良書との出会いが、農薬と人間と人間以外の生物とが、どのようにしたらうまく付き合っていくことができるのかを、考えるきっかけをくれたように思います。その成果は如何に。今後の報告にご期待ください。

高橋園では草刈りの真っ最中です。高橋さんは「やっぱり草刈りが大事!」と、徹底的に刈ってくださいます。剪定は春芽の様子をうかがいながら、こわごわと進めています。ですので、もっぱらカイヨウ病にやられた秋芽を切る作業が中心です。

病虫害を防ぎながら、今年のような味を来年も再現できるのか。本格的な取り組みが始まります。